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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

急逝した大谷の同僚も医療用麻薬…使用量を国際比較すると

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 日本でオキシコドンを処方できるのは、都道府県単位で登録した医師のみで、適応はがんの疼痛緩和に限られます。使用量の記録と管理も義務づけられていて、管理がとても厳しい。

 痛みをしっかり取ることが根づいている米国と、痛みよりも管理を重視する日本。疼痛治療への意識の違いが歴然です。日本は、医療用とはいえ、「麻薬」という言葉のイメージが使用にブレーキをかけているのかもしれません。

■日本での使用量はドイツの20分の1

 医療用麻薬の使用量の国際比較(2013~15年)によると、トップはドイツの2372グラムで、オーストラリア、カナダ、米国が1500グラムを超えていて、日本は韓国の半分程度の118グラム。ドイツの20分の1程度に過ぎません。

 それで痛みを十分取れないことによる不利益は患者に及びます。がんの痛みを取る緩和ケアを行うグループと行わないグループに分けて追跡すると、いくつもの研究で緩和ケアを行うグループに延命効果があることが示されています。日本の末期がんは、苦しみ抜いて亡くなるイメージといってもいいでしょう。

 米国で社会問題になっているとはいえ、医療用麻薬も適切に使用すれば、依存することはありません。米国のような適応拡大はともかく、医療用麻薬を適切に使うことでがんの痛みをしっかり取ることは大切だと思います。

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