末期がん90代女性「一人娘とは絶縁状態で会うこともできない…」
自分のやりたいようにしたい、という気持ちが強く、介護ベッドの導入を提案した時は、「布団でいい」と拒否されました。市販薬を近所の人に買ってきてもらい、自己判断で飲まれることも。
日に日に病状は悪化し、家事や排せつなどが厳しくなっていきます。ホスピスの入居がベターと考えたのですが、身元保証人がいないため手続きがスムーズにいかず、調整が続いている状態でした。
女性はどんどん悲観的になっていく。私たちができることは、痛みや息苦しさなど身体的なつらさを取り除くこと。さらに、話を傾聴し、少しでも寂しさを軽減するよう努めることでした。在宅医療を開始して2週間後、自宅で、私たちが見守る中、旅立たれました。
しばらくして、娘さんから当院あてにお手紙が届いたのでした。
「いつかは歩み寄ることもできたかもしれないと思っていましたが、そんな思惑とは裏腹に、母は突然逝ってしまいました。皆さまの手厚い介護は感謝しております」
そこには、母に優しい言葉をかけるべきか最期まで葛藤があったこと、娘さんなりにできることは、できるだけやったことなどがつづられていました。