中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

食道がん公表のチバユウスケさん他界…飲酒後は唾液中の発がん物質濃度が10倍に

公開日: 更新日:

 人気ミュージシャンの訃報が相次ぐ中、今度は人気バンドのメンバーが亡くなりました。「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」の元メンバーで、最近は「The Birthday」で活躍していたチバユウスケさんです。公式サイトなどによると、先月26日に息を引き取ったそうです。享年55。

 公式HPなどには死因が記されていませんが、今年4月に食道がんを公表。休養して治療に励んでいたことから、このがんが原因でしょう。

 食道がんは、アルコールとたばこがよくありません。その後の報道でチバさんは酒豪で愛煙家だったといいます。私は愛煙家でないものの、お酒は大好きで、人ごとではありません。

 ここからは一般論として飲酒と喫煙の影響についてお話しします。胃腸や肝臓、心臓、肺など腹部にある臓器は、漿膜(しょうまく)と呼ばれるラップのような薄い膜で覆われていますが、食道にはこれがなく、アルコールそのものが直接、食道の粘膜を傷害しやすくなるのです。

 口の中には、たくさんの細菌がいて、一部の細菌はアルコールを材料として発がん物質のアセトアルデヒドを産生。その結果、飲酒後の唾液中アセトアルデヒド濃度は、血液中の10倍ほどの高濃度になるのです。

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