かゆくてたまらない…「結節性痒疹」の新薬が70年ぶりに登場
「この場合、掻いても皮膚の上の“危機”は排除されません。しかし掻くことで炎症が生じ、さらにかゆみを引き起こす物質(起痒物質)が産生され、よりかゆみが増して掻きむしるという悪循環が起こってしまう。そうやって何度も強く掻くことで皮膚は繰り返し傷つけられ、皮膚組織の内部構造が変化して半ドーム状に盛り上がり、結節性痒疹に至るのです」
結節性痒疹は幅広い年代に存在し、年齢分布では中年以降に多く見られる。一般人にとっては耳慣れない病名かもしれないが、皮膚科医が日常的に診る病気としては決して珍しくないという。
ところが、これまで治療法は限定的だった。中心となる治療はスキンケアとステロイド外用薬で、それで効果が見られなければ、抗ヒスタミン薬の服用、紫外線療法、それでも効果が見られなければ漢方薬やステロイド局注、または保険適用外の治療などが検討されるという状況だった。
患者の治療への満足度がうかがえる調査結果がある。「直近1年以内に結節性痒疹の治療を実施した15~69歳」を対象としたインターネット調査では、回答者の全員が治療を受けた・受けているにもかかわらず、「皮疹もしくはかゆみが中等症以上の患者は40%」。80%以上の患者が「かゆみが日常に支障をきたしている」「かゆみで肌を掻きこわしてしまう」「再発を繰り返す」「良い状態が続かないことで困っている」と回答した。なお、治療方法で最多の51%を占めたのはステロイド外用薬だった。