ヤバい! 新橋「大露地」で20歳そこそこの男女たちと呉越同舟の顛末
第52回 新橋(港区)③
昔から「路地裏に名店あり」と言われる。誰が言ったか知らないが、いかにも昔の文士が言いそうでしょ。この際だからアタシが言ったことにしよう。ちょっとニュアンスは違うが横町という言葉にもそんな趣があるね。最近は立石あたりもそうだけど、そんな昭和の路地や横町が次々となくなっている。残念でならない。
路地といえば新橋にもたくさんの路地がある。有名なところでは烏森神社裏の烏森宮脇通り。その周りにも路地が多く、いい酒場が並んでいる。この辺りは安くて手ごろな店もあれば、ちょいと高級なフグなどを食わせる老舗も混在している。だから客の大半は若いサラリーマンから管理職といった男たちが中心だったが、最近はそうでもない。若い男女も通っているようだ。今回の「大露路」もそんな店。開店時間の4時を目指して柳通りから横町に入ると大きく大露路と書かれた看板が見える。ガラリ。戸を開けるとすでに老若男女でほぼイッパイ。小さな店内は6人掛けのテーブルが左右に2つずつ。客たちはその4つのテーブルに当たり前のように相席で飲んでいる。
1人のアタシは5人の若者の団体の席の一角に押し込まれた。まるでパズルのピースのようにはめ込まれてしまった。他の客もそれが当然のように受け入れている。アタシのテーブルには20歳そこそこの男女が、どうやら2軒目らしく盛大に盛り上がっている。
隣のテーブルには70歳くらいの先輩が3人。その隣はカップル。2人の若い女子だけのテーブルには2組の夫婦……。すでに外には次の客が列を作り始めている。