能登半島地震でベンチャーが「ITボランティア」 自動チャットサービス無償提供で被災者救済
サービス実現の3つのポイント
このチャットサービスが実現した背景には3つのポイントがある。
まず、内閣府の「被災者支援に関する各種制度の概要」がPDF化されており、その利用実態も知っていたこと。
「被災者支援で使える制度はかなり多くありますが、被災者や自治体もどの制度が適用できるか知らない。しかも申請主義なので、被災者本人が知らないと申請できない」
そう話す村井氏は、元衆院議員。東日本大震災時には衆院災害対策特別委員長を務めていた。その経験から、被災者支援の実態に詳しく、これまでも自治体の防災DXを手がけてきた。
次はPDFを短時間で読み込みAIチャットボットに落とし込む技術。これは村井氏と仕事上のつながりがあるReAlice(東京、船木駿社長)が無償で手がけた。
今回、こなれた文章で回答する生成AIではなく、検索結果だけを表示する検索型AIを使ったことには理由がある。
「生成AIだと、PDFを要約してほかの情報まで読み込み嘘をついてしまう可能性があった」(船木氏)
最後は地域密着でサービスを提供できる存在。これはNan Naruが担ったわけだ。「現在、富山県内の自治体もホームページにチャットのバナーを貼ってくれている」(村井氏)とも。
被災証明を受けるため重要なことがある。現状の被災した証拠写真を撮っておくこと。これがないとせっかくの制度も利用できない。