フジドリームエアラインズ(上)静岡県の航空会社に吹いた“神風”、地元の老舗・鈴与が親会社
09年、静岡県牧之原市と島田市にまたがる形で静岡空港が開港した。離島を除けば日本で最も新しい空港だ。空港建設が決定したのはバブル真っ最中の1987年。しかし工事が始まった96年にはすでにバブルは崩壊しており、2000年代に入ると、「開港しても就航する航空会社はない」との声が高まっていた。
そこで鈴与の出番である。静岡県に初めてできた空港を生かすために自ら航空会社を設立、こうしてFDAは静岡空港を拠点に全国の地方空港を結ぶリージョナル航空会社として産声を上げた。
当然、その経緯からして経営的には厳しく、赤字が続いていたが、2つの神風が吹いた。
1つは、JALの経営破綻だ。これにより、多くのパイロット、CAが人員削減の憂き目に遭ったが、FDAはその受け皿となった。さらにはJALグループのジェイエアがリージョナル路線から撤退、FDAはそれを引き継いだ。航空会社が利益を出すには効率的なダイヤ運航が不可欠だが、そのためにはある程度の機数・便数が必要だ。そして当然、搭乗員も確保しなければならない。それをJALが提供してくれた。