加速する初任給引き上げ「大卒30万円」の懸念材料…“格差拡大”で中堅社員の士気低下も
日本商工会議所の小林健会頭は初任給の引き上げについて「中小企業にとってインパクトは非常に大きい」と指摘する。「初任給を引き上げてしまうと、今いる全社員の賃金も(それ相応に)引き上げないといけなくなる」と産経新聞で話している。新入社員の給料だけを大幅に引き上げれば中堅社員らの不満は高まる。新卒と中堅の“給与格差”は社内をギクシャクさせかねない。
日本企業の99.7%は中小企業、従業員数では全体の70%が中小企業で働いている。介護、飲食など業界にもよるだろうが、就職氷河期に入社した社員の給与が現在も月給30万円以下なら家族も嘆くだろう。
「格差拡大」で諦め気分となれば、「社会活力」は低下するが、グローバル展開の大企業は、米国のITや投資銀行のような高額を提示しなければ世界から優秀な人材の採用は困難だろう。
欧米では給与は能力によって決まり、年齢はあまり考慮されない。そのため新卒でも1年目から年収1000万円という人もいる。日本の大卒初任給は、アメリカの2分の1以下、スイスの3分の1以下で、韓国にも抜かれている。「企業は人なり」──就職人気ランキングに株式投資のヒントもありそうだ。
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