急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に
大企業を中心に人員削減が加速している。東京商工リサーチ(TSR)の集計によれば、昨年「早期・希望退職募集」を行った上場企業は57社で、前年の41社から39%増加した。募集人数も1万9人(前年3161人)となり、3倍に急増。1万人超えは3年ぶりだ。
人数が膨らんだのは、大手メーカーが1000人を超える規模の削減を打ち出すなど、大型募集が相次いだことが背景にある。業種別では電気機器が13社(3320人)でトップ。次いで情報・通信業10社(757人)、繊維製品(694人)、医薬品(880人)、機械(300人)が各4社で続いた。特徴的なのは、上場区分で最上位の東証プライム企業が40社と全体の約7割を占め、直近の決算で黒字企業が34社と約6割に上ることだ。
「『早期・希望退職』、つまりはリストラですが、これまでの赤字企業が経営改善のために行うものから、黒字企業が体力のあるうちに新分野に取り組むためのものに変わってきています。適材適所の人員配置と部門ごとの必要性をシビアに見極める構造改革に伴うものです。日本社会で成果主義がうたわれて久しいですが、それでも大手企業は終身雇用を維持してきた。しかし、いよいよ終焉に近づいています」(TSR情報本部長・友田信男氏)