桐生には100m9秒台の過剰期待 日本人の“限界”を専門家解説
日本人初の100メートル9秒台の記録は、陸上関係者にとっては悲願だという。しかし、桐生が9秒台を1度や2度ぐらい出したところで、それが世界選手権や五輪のメダルにつながるわけではもちろんない。
「五輪代表になるための国内予選が厳しい米国なら、3人の代表に選ばれたら、本番ではほとんど決勝へ進めるでしょう。それは自己記録と9秒台を出した回数の違いです。男子100メートルは、コンスタントに9秒台をマークできなければ世界大会での上位争いは無理です」(前出の平山氏)
日本陸上男子の4×100メートルリレーは、北京五輪で銅メダルを手にした。五輪の陸上トラック種目で日本男子がメダルを獲得するのは初の「快挙」だった。が、あれはアテネ五輪で金、銀、銅だった、実力が上の英国、米国、ナイジェリアが、バトンミスで予選敗退という幸運に恵まれた点を無視できない。それでもまだリレーは、バトンワークやコーナリングなど、技術で人種的、肉体的ハンディを補える部分が少しはあるが、100メートルはそうはいかない。
今の桐生はライバルがレース中にコケても、リオでも東京五輪でもメダルを取るのは至難のワザなのだ。