いくら入っているのか大相撲「懸賞金」 力士の取り分は?
「土俵にはカネが埋まっている」
と弟子に言ったのは故・二子山親方(元横綱若乃花)。中でも勝ち力士が受け取る懸賞金は、最も単純明快なカネだ。
のぼり1本につきのし袋に入っている現金は3万円。しかし、懸賞を出す企業が支払うのは1本につき6万2000円。5300円は必要経費等、相撲協会の取り分になる。残り5万6700円は力士のフトコロに入るが、その場で受け取れるのはのし袋に入った税込みの3万円のみ。2万6700円は納税充当金として協会が本人名義で積み立て、税金が払えない時などにここから支払い、余った分は引退時にまとめて渡される。
人気力士や横綱ほど、その数も増える。特にNHK中継で最も注目される結びの一番には、数十本ののぼりが土俵を回ることも珍しくない。過去最多は今年の初場所、白鵬―鶴竜にかけられた61本。勝った白鵬は183万円を手にした。
とはいえ、懸賞が多いからといって喜んでもいられない。「ロボコップ」で人気を博した高見盛(現振分親方)には、永谷園から取組ごとに必ず5本の懸賞がかけられていた。勝てば最低15万円は手に入るというのは対戦相手も同じ。実力を評価されながら最高位小結で引退したのは、懸賞金目当ての力士から標的にされ続けたからという声もある。
ちなみに懸賞を出せるのは企業や団体のみ。基本的に個人名は不可能だ。例外は13年11月場所で元ビートルズのポール・マッカートニーの出した懸賞。当時発売中のアルバム「NEW」の宣伝のため、「ポール・マッカートニー、NEW発売中」という館内アナウンスが場内に流れた。