体操・梶谷信之氏「1回は出たい」と這い上がりメダル獲得

公開日: 更新日:

「約1カ月間、バーンアウト状態に陥ってしまったんです。体育館へは行くのですが、どうしても練習をする意欲が湧いてこない。ただ座って見ているだけという葛藤の時間でした。今思うと、この頃は肩や腰に故障を抱えていて満身創痍。年齢も20代後半で回復が遅くなっていた。

 そんな状況で心が折れてしまったのかもしれません。それでも自力で何とか戦線に戻れました。ケガが治ってきて気持ちが前向きになったのもありますが、『何とか1回は五輪に出たい』という執念というか、思いが湧いてきた。五輪は来年。もう練習しないとダメだと焦りが出てきた。筋力は落ちましたが、精神状態を持ち直すことができたんです」

■着地までの2秒の間に走馬灯

 何とか代表メンバーに選出され、84年の五輪本番を迎えた。

「平行棒の予選は2位。種目別決勝は、しっかり着地を止めないとメダルは厳しいという状況でした。演技中も最後の着地に神経を集中していたら、着地するまでの2秒足らずの間に、これまでのことが頭を巡ったんです。そして、着地も決められて、ほぼノーミスで銀メダルが獲得できた。感無量でした。しかし……あれが走馬灯というものなのでしょうか。不思議な現象でした」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    鈴木誠也と吉田正尚が窮地…トレード浮上も引き取り手なし、大谷フィーバーの裏で価値大暴落

    鈴木誠也と吉田正尚が窮地…トレード浮上も引き取り手なし、大谷フィーバーの裏で価値大暴落

  3. 3
    悠仁さま「オックスフォード大進学」再浮上のナゼ…昆虫標本が充実した自然史博物館の存在

    悠仁さま「オックスフォード大進学」再浮上のナゼ…昆虫標本が充実した自然史博物館の存在

  4. 4
    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

  5. 5
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  1. 6
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

  2. 7
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  3. 8
    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

  4. 9
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  5. 10
    ロッテ佐々木朗希は“身内”からも嫌われた? 故障中とはいえ選手間投票でも球宴選外のトホホ

    ロッテ佐々木朗希は“身内”からも嫌われた? 故障中とはいえ選手間投票でも球宴選外のトホホ