柔道65kg級・柏崎克彦氏「今でもモスクワ五輪の夢を見る」
柏崎克彦氏(柔道男子65キロ級・68歳)
出場していれば間違いなく金メダルの有力候補だった。
柏崎氏は寝技の名手として鳴らし、当時は茨城県の公立高校で保健体育の教鞭を執りながらモスクワ五輪を目指した。全日本体重別選手権では4連覇(1978~81年)を含む5度の優勝。講道館杯も2度制するなど長らく日本柔道の65キロ級を牽引してきた。
■代表選考会前日にボイコット決定の悲運
80年モスクワ五輪への日本の不参加を耳にしたのは、代表選考会の体重別を翌日に控えた同年5月24日だった。翌日の試合に備えて宿舎で早めの床に就こうとした際、電話で顔なじみの報道関係者から「ボイコット」の事実を知らされたという。
「大会当日の朝、新聞記者に囲まれて感想を求められましたけど、何も言いようがなかった。山下(泰裕=現JOC会長)、レスリングの高田(裕司=現日本協会副会長)らと違い、代表権を得ていなかったからです。私にとってあの年の体重別は(ボイコットを)悔しがる権利を得るための大会でした。体重別を制して代表権を得て泣く選手もいましたけど、私は階級を制しても不思議と涙は出ませんでしたね」(柏崎氏)