米国の「日本へは行くな」でも「五輪は大丈夫」の謎解き
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、米国が日本への渡航警戒水準を最も厳しいレベル4の「渡航中止・退避勧告」に引き上げた。これは米疾病対策センター(CDC)の基準によるもので、「日本への全ての渡航を控える必要がある」とした。
これに対し、米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は「米国選手の安全な参加に自信を持っている」と声明を出したのである。
日本へは行くな。でも五輪は大丈夫――。こんな理屈が通るのか。いったい、どういうことか。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏はこう言う。
「米国務省の判断は明確なデータに基づいたものなのに対して、USOPCの発言はIOC(国際オリンピック委員会)に忖度したもの。USOPCはあくまでIOCの組織の一部です。国務省と反対の姿勢を取ることで、日本へ行くべきかどうか、米国選手がどう反応するかを見極める『アドバルーン』でもあります。ただ、今月12日に米陸連が、千葉での事前合宿を取りやめたのは大きな意味がある。米国内における陸連の影響力は大きいですからね」