追悼・プロゴルファー田原紘さん 多くのアマチュアに慕われた「レッスンの神様」

いつも笑顔が絶えなかった田原プロ。手にする貼り絵は一過性脳梗塞後にリハビリで作成（Ｃ）日刊ゲンダイ

　アマチュアゴルファーからの絶大な信頼を得て販売部数は累計200万部超え。「レッスンの神様」と呼ばれ、87年に初代レッスン・オブ・ザ・イヤーを獲得している。

　いまでは人気ブランドに成長した住友ゴム工業のゼクシオブランドを立ち上げる際に、プロのテスターとして参加。田原プロのアイデアがクラブ製品化に生かされている。

　取材で一緒にラウンドすると、こちらのトップやダフリのミスに「惜しい。もうちょっとだ」といつも励まし、ナイスショットが出ると「それだ。いいですねえ」と大きな声をかけてくれる。

　プロゴルファーは往々にして、自分の理論をアマチュアに押しつけがちだが、田原プロは違った。じっとアマチュアのプレーを観察し、温かく見守ってくれる。そしてホールアウト後の歓談で、ゴルフの講義が始まるという流れだった。海外での試合経験もあり、アイルランドの本場リンクスでの逸話など話題が豊富。かつて間近で見た世界トッププロの技をテレビ解説でも知られた滑らかな口調でわかりやすく解説してくれた。

　日本のツアー競技も毎週つぶさにチェックしており、スイング改造でスコアが出なくなった渋野日向子を、「彼女の思い切りの良さが消えちゃった」と心配していた。