阪神奇跡の逆転Vつないだ坂本 矢野監督が“正捕手”梅野切りを決めた燕戦とその真相

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 最後の首位攻防戦は1勝1分け。阪神はなんとか逆転優勝の可能性を残した。影のヒーローは捕手の坂本だろう。

 この日は先発ガンケルの内角球とシンカー、スプリットをうまく使い、ヤクルト打線を、八回途中まで4安打9三振の無失点。4番村上は3打席連続三振に仕留めた。バッテリーは八回に代打を送られベンチに下がるも、2試合連続の完封リレーは坂本の好リードが大きかった。

 阪神は坂本がスタメンマスクをかぶった12日の巨人戦から4勝1敗2分け。失点は8に抑えている。坂本起用が奏功しているといえよう。

「矢野監督が“正捕手”梅野外しを決断したのは前回のヤクルト戦です」と、あるOBがこう言う。

「1戦目を左腕の高橋で落とし、矢野監督は2戦目のマスクを坂本に託したところ相手打線を1点に抑えて勝った。3戦目は梅野に戻すと6失点で負けた。先発ガンケルの制球難もあったが、逆転したのち、塩見、山田にストレートを打たれた配球は解せなかった。崖っぷちに追い込まれた矢野監督は翌日から坂本のリードに託したのです」

強肩強打の持ち味消えて

 梅野と坂本はタイプが違う捕手だ。明るい性格の梅野は思い切りのいい打撃と勝負強さが持ち味。5月には得点圏打率が5割以上もあった。

「肝心の守備ではワンバウンド投球を止める技術が高く、肩も強い。強肩強打で人気者だった、かつての城島に似ていますね。ただし、梅野は配球に難があり、打者心理を読んだ裏をかく組み立てができない。いい打者なのに、それを配球に生かせない。一方の坂本は、打撃力は梅野に劣るもののキャッチングのレベルが高く、投手の持ち味を引き出す配球にたけている。走者を出しても、どうにか無得点か最少失点に抑えるリードを考える。地味ですが、いわゆるひと昔前の捕手らしい捕手です」(在阪のマスコミ関係者)

 梅野の今季成績は、打率.225、3本塁打、33打点。盗塁阻止率は.288(リーグ3位)。強肩強打の持ち味を発揮できていない。

「野手出身の金本監督は配球より、『止めて、刺して、打てる』梅野を正妻に固定していた。矢野監督も貧打解消、打撃優先で梅野を使ってきたが、今の梅野は春先とは別人。そもそも矢野監督は捕手出身なので、ゲームの流れや戦況、相手ベンチの考えや打者心理を読み、工夫する坂本のリードがよくわかるのです。ちなみに、これは余談だが、坂本は履正社(大阪)で岡田(龍生)監督の指導を受けている。岡田さんは矢野監督が桜宮高(大阪)時代の恩師(当時はコーチ)です。恩師の教え子を預かったわけですから、球界を代表する捕手に育てたいはずです」(前出のOB)

 5月に国内FA権を取得した梅野。タテジマは今季限りかもしれない。

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