セ本塁打王争いを広島・鈴木誠也が制する根拠 打撃2冠を置き土産にメジャー挑戦は?

公開日: 更新日:

 ヤクルトの優勝が秒読み段階に入ったペナントレースとは対照的に、セの本塁打王争いがいよいよ混沌としてきた。

 39本でトップに並ぶ巨人岡本和真(25)とヤクルトの村上宗隆(21)を広島鈴木誠也(27)が猛追。17日の阪神戦で1試合2発を放つなど、9月以降に19本塁打の量産態勢で岡本、村上に1本差まで迫ってきた。

 18日現在、残り試合は岡本の巨人が4、村上のヤクルトが8、鈴木誠の広島が6。試合数では村上が有利だが、

「村上はチームの6年ぶりの優勝がかかっているだけに、個人成績だけを追うわけにはいかない。9月以降、打率.299と調子は維持しているものの、8本と本塁打のペースが落ちている。首位チームの主砲だけに相手からマークされ、9月からの41試合で29四球と四球が増えているのも気がかりです。岡本は夏場を過ぎて大スランプに陥ってしまった。9月以降の成績は打率.225、7本塁打で15日のヤクルト戦で39号を放つまで、18試合71打席も一発から遠ざかった。チーム状態も悪く、4番としての責任を背負い込んでフォームを崩す悪循環にはまっているように見える。勢いと調子では完全に鈴木誠でしょう」

 とは、セ球団のスコアラーである。残り試合のそれぞれの対戦相手を見ても、鈴木誠に分がありそうだ。別表の通り、鈴木誠はカモにしている球団との試合を多く残す。しかも、4試合が今季16本塁打を記録している本拠地・マツダスタジアムでの試合である。村上は最多3試合を残す広島戦を苦手にしており、打率.228は対戦球団別のワーストで、4本塁打も最少となっている。

球団も本人も「今が売り時」

「鈴木誠は打率でも.322と2位の阪神・近本(.316)に差をつけて2度目の首位打者を射程圏内に入れており(18日現在)、初の本塁打王を獲得すれば2冠。それを置き土産に、今オフにもメジャー挑戦に打って出る可能性はゼロではないでしょう。それも、モチベーションになっている。ここ数年、契約更改のたびに球団にポスティングシステムによるメジャー挑戦を要望しており、昨年12月の年俸交渉の席でも『少しした』と認めている。順調に行けば、鈴木誠が海外FA権を取得するのは2023年シーズン。球団がポスティングを認めるにしても、普通ならその前年の22年オフということになりますが、過去に王(貞治)さん、落合(博満)さんの2人しか達成していない6年連続『打率3割、25本塁打』の達成間違いなしの今年が、球団にとっても本人にとっても売り時であるのは間違いない。あとは球団の決断次第。代わりの利かない大黒柱だけに、認めれば相当な痛みを伴う。難しいところですが……」(地元マスコミ関係者)

 今年5月の日刊ゲンダイのインタビューでメジャー挑戦について、「もちろんチャンスがあれば、若いうちに行きたい気持ちは持ち続けています。でも、まだはっきりいつとは……。タイミングを見てですね」と答えた鈴木誠の今季年俸は3億1000万円。広島には大きな負担になってきているだろうし、ポスティングなら見返りもある。メジャー挑戦すれば「5年40億円以上の契約が確実視されている」(西海岸球団のスカウト)というから、だとすれば広島には8億円近い移籍金が転がり込む。そんな米球界の高評価が、来年以降も続く保証はない。売り時を間違えた巨人・菅野智之の例もある。

 いずれにしろ、同い年の大谷翔平との競演が見られる日は、そう遠くないうちにやってくる。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    大谷の今季投手復帰に暗雲か…ドジャース指揮官が本音ポロリ「我々は彼がDHしかできなくてもいい球団」

  2. 2

    センバツVで復活!「横浜高校ブランド」の正体 指導体制は「大阪桐蔭以上」と関係者

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希の肩肘悪化いよいよ加速…2試合連続KOで米メディア一転酷評、球速6キロ減の裏側

  4. 4

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  5. 5

    阪神・佐藤輝明「打順降格・スタメン落ち」のXデー…藤川監督は「チャンスを与えても見切りが早い」

  1. 6

    PL学園から青学大へのスポ薦「まさかの不合格」の裏に井口資仁の存在…入学できると信じていたが

  2. 7

    ソフトB近藤健介離脱で迫られる「取扱注意」ベテラン2人の起用法…小久保監督は若手育成「撤回宣言」

  3. 8

    巨人・坂本勇人2.4億円申告漏れ「けつあな確定申告」トレンド入り…醜聞連発でいよいよ監督手形に致命傷

  4. 9

    新庄監督のガマンが日本ハムの命運握る…昨季の快進撃呼んだ「コーチに采配丸投げ」継続中

  5. 10

    「負けろ」と願った自分を恥じたほどチームは “打倒キューバ” で一丸、完全燃焼できた

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に