箱根駅伝は駒大vs青学大の一騎打ち! 早大OB渡辺康幸氏が“穴校”も含めて大胆解説

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 今年は駒大の大逆転劇で幕を閉じた箱根駅伝。「戦国駅伝」といわれる2022年は、どんな戦いが繰り広げられるのか。今回も1号車で解説を務めるのは早大OBの渡辺康幸氏(48=住友電工陸上部監督)。大学時代は3度2区を走り区間賞を3度獲得。1年時には総合優勝に貢献。10年度は早大監督として大学3大駅伝を制覇。箱根路を知り尽くす渡辺氏が、注目の優勝争いなどについて語った。

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  ◇  ◇  ◇

 今回は駒大と青学大の一騎打ちとみます。選手個々の実力、選手層の厚さにおいて、この2校は頭ひとつ抜けている。しかも、駒大は「飛車角抜き」で11月の全日本を連覇した。9月に右足大腿骨を疲労骨折した鈴木芽吹(2年)と不調で全日本を欠場した唐沢拓海(2年)が戻れば、よほどのアクシデントがない限り、箱根の連覇も濃厚です。

■戦力揃った駒大、往路強い青学はどこまでくらいつくか

 今年連覇を逃した青学大は、エース区間の2区(23.1キロ)で6位から13位と大きく後退し往路は12位。前半の遅れを取り戻せず総合4位に終わりました。総合2位の19年も往路6位が痛かった。昨年の全日本でも、1区10位と出遅れ、2区の近藤幸太郎(当時2年)も区間13位と大ブレーキ。近年は序盤に失速が目立ちます。それでも19年と今年は復路1位。後半に挽回できるのが強みです。往路で駒大に大きく引き離されなければ、「復路で逆転できる」と原晋監督(54)は考えているはずです。

 原監督はライバル校の戦力分析にたけており、「打倒駒大」には区間配置もカギになります。10区間にピース(選手)をうまくはめ込み、どうにか接戦に持ち込みたい。注目の2区にはおそらくエースの近藤(3年)を起用するでしょう。本来なら、1年時に2区を走っている岸本大紀(3年)を使い、3区に近藤を置きたいところですが、2区は各校のエースが集い、きつい坂もある。岸本は左足骨折明けで、久しぶりの駅伝となった11月の全日本では3区で快走を見せたものの、箱根路の2区は距離が倍です。岸本の起用は避けると思う。

 2区には東京国際大のイエゴン・ビンセント(3年)と駒大の田沢廉(3年)という学生のトップランナーが出てきます。青学大の「大砲」というべき近藤ですが、2区ではゲームチェンジャーになるのは非常に厳しい。「2区近藤」が、その後のレースにどう影響するか、ひとつの見どころです。

 駒大の大八木弘明監督(63)は往路優勝の勢いのまま復路を逃げ切りたい。一方、青学大の原監督は、往路で駒大に後れを取るのは織り込み済みでしょう。最悪でも2分、いや3分以内につけていれば後半に逆転できると読んでいるのではないか。

往路は東京国際大、順大の逃げ切りも

 そんな駒大対青学大の一騎打ちに波乱はないのか。

 箱根駅伝は何があっても不思議ではない。予想外の天候に影響されたり、実力以上のものを出せる選手もいれば、その逆もあるからです。1区間のブレーキにより、優勝争いから脱落した強豪校も見てきました。駒大、青学大にひと泡吹かせることができるとすれば、東京国際大、創価大、順大の3校ではないか。

 10月の出雲を制した東京国際大は、1区山谷昌也(3年)、2区ビンセント、3区丹所健(3年)の配置でくるでしょう。ビンセントでつくった大きなリードを3区でさらに広げ、往路優勝につなげる戦略です。ただし、山上りの5区、山下りの6区を得意とする選手がいない。復路の逃げ切りまでは厳しいでしょうが、11月の全日本も5位に入った力は侮れません。

 今年の大会を最後まで盛り上げた創価大は前回同様、目標は3位以内と聞いています。レースの行方を大きく左右する箱根の山には頼もしい選手がいます。今年の5区の区間2位で往路Vのテープを切った三上雄太(4年)。6区も前回経験者の浜野将基(3年)が残っている。箱根の急勾配は本番を走った経験が大きな財産です。今年の再現もあるかもしれません。

 15年ぶりの総合優勝を狙う順大も、今年7位のメンバーが6人残っています。東京五輪3000メートル障害7位の三浦龍司(2年)は2年連続1区に登場してくるでしょう。私が今回最も注目しているのが、昨年まで3大駅伝を走っていない四釜峻佑(3年)です。今年は5月の関東インカレ1部ハーフマラソンで日本人トップとなる4位。1万メートルで自己記録を3度更新し、全日本駅伝の最終8区(19.7キロ)でも区間2位とすこぶる調子がいい。「5区の区間新記録が目標」というので、初の山上りも楽しみです。いきなり「山の神」になれば、順大が往路を取る可能性は十分にあります。

 最後にシューズの話題をひとつ。

 最近はどのメーカーも厚底となり、選手は練習でも履いているので自己記録をあっさり更新する者が多い。ところが、1万メートルで30分を切るなど、そこそこの記録を持っていても、駅伝になると勝負弱い。厚底効果による好タイムを基準にメンバーを選ぶと監督は痛い目に遭います。練習や記録会とは違い、駅伝は単独走だからです。選手層が厚いチームなら、いわゆる「タイム番長」は外せますが、その見極めも難しい。

 各選手の1万メートルの持ちタイムを調べ、観戦してみてはどうでしょう。 

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