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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大リーグの今後を占う今季の集客力…NBAとNFLは上回るも環境は依然として厳しい

公開日: 更新日:

 現地時間の4月7日、大リーグの2022年の公式戦が始まった。

 経験豊かな選手も大リーグ初出場となった選手も、それぞれが新しいシーズンの始まりに満を持して臨んでおり、日本人選手に限っても、鈴木誠也(カブス)が持ち前の選球眼のよさを発揮し、本拠地リグレーフィールドでの公式戦初試合でチームの勝利に貢献した。

 また、開幕投手と1番打者で試合に出場した大谷翔平(エンゼルス)は大リーグ史上初めて「開幕投手として自軍最初の投球を行い、打者として相手投手の第1球を受ける選手」となり、パドレスのダルビッシュ有も6回を投げて無安打無失点を記録し、開幕戦としては1940年にインディアンスのボブ・フェラーが史上唯一の「開幕戦での無安打無得点試合」を達成したことを思い起こさせる好投をみせた。

 さらに、客席の様子は、われわれに強い印象を与えた。なぜなら大規模な催事の入場者制限を撤廃していたテキサス州を除き、21年の大リーグは米国の他のプロスポーツと同様、観客数に上限が設けられる中で開幕戦を迎えたからだ。

 多くの球団がシーズン当初は定員の15%から35%程度の入場者数にとどめる中でレンジャーズが入場制限なしに主催試合を行ったことは、新型コロナウイルス感染症対策に慎重な民主党のバイデン政権と、野党共和党に属し、自らの指導力の強さを有権者に印象付けたいテキサス州知事グレッグ・アボットの党派的な対立がスポーツに影響を与えた象徴的な事例でもあった。

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