(3)20歳の長岡を大抜擢 数年後の“黄金時代”見据え若手起用では「あえて二兎を追う」
開幕戦で長岡は、5打数4安打の固め打ちで早くも打席ではその存在をアピールしたが、守備ではやや不安を感じさせた。記録はヒットだが、捕って当たり前の当たりを取り損ねるケースが目立った。長岡の守備の危うさは、前半戦は見受けられた。しかし、高津監督は長岡を先発で使い続けた。
■「チャンスを与え、見守るのが仕事」
「年間143試合あるわけですから、すべて完璧なプレーができるわけじゃないです。若い選手の場合、使い続けていくことで自信を獲得していけばいい。監督とは、チャンスを与え、見守るのが仕事だと思ってます」
高津采配の特徴として、エラーの後に代打が送られるような「懲罰交代」はほとんどない。ミスがあれば、他の場面で取り返して欲しい──そう考えるのが高津流なのだ。
実際、その効果はあった。長岡の守備は徐々に安定してきただけでなく、その強肩が投手を救うようにもなった。長岡はコロナ陽性で離脱した時期をのぞき、完全にスタメンに定着。高津監督の「育てながら勝つ」を象徴する選手となった。