(1)セ連続Vのマネジメント術 高津監督は目先の結果に動じず、長い目で選手を信じた
ヤクルトが25日のDeNA戦(神宮)に勝利し、2年連続9度目のリーグ優勝を決めた。恩師である野村克也氏以来(1992、93年)29年ぶりの連覇を成し遂げた高津臣吾監督(53)は、どのようにしてチームを再び頂点へ導いたのか。高津監督の著書「一軍監督の仕事」「二軍監督の仕事」(ともに光文社新書)の企画・構成を担当、指揮官の考えを知り尽くすスポーツジャーナリストの生島淳氏が、5回にわたって“タカツ流マネジメント”を解き明かす。
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9月25日、高津臣吾監督が神宮球場で7度宙に舞った。優勝監督インタビューでは、次のように話した。
「(ファンの)皆さんと一緒くらいうれしいです。選手、コーチ、スタッフみんなを信頼してここまでやってきた。開幕の大逆転からスタートして、7月にコロナが蔓延してチームとして大変な時期が始まったが、なかなか輪が崩れない、素晴らしいチームとして戦えたことで、この9月25日を迎えられたと思います」
ヤクルトスワローズにとっては93年以来、29年ぶりとなるリーグ連覇。高津監督はまた一歩、“名将”に近づいたのではないか。ただ、優勝したとはいえ、ヤクルトにとっては一筋縄ではいかないシーズンとなった。
前半戦は好調だった。交流戦では西武、ソフトバンクに3連勝するなど、パ・リーグの6球団に対してすべて勝ち越し。昨季以上の充実ぶりだった。それでも高津監督本人は「戦っている現場からすると、なんとか勝っているという感じです」と謙虚な姿勢を崩さなかった。
そして7月2日には史上最速でマジック53が点灯。この調子ならば、8月中にも独走でリーグ優勝を決めてしまうのではないかと思われていた。
ところが──。
7月9日に衝撃が走る。高津監督をはじめ、主力の山田哲人、塩見泰隆らがコロナウイルスに感染、戦線からの離脱を余儀なくされてしまった。