ヤクルト並木秀尊を支えた「人たらし力」 逆転負けを招く後逸“炎上”の失意から見事再起
「最近、球団スカウトの方とお話する機会がありまして。あの失策があった後、コーチの方が高津監督に『あれはかなり難しい打球だった』などと、フォローしてくれたそうです。並木は小柄(170センチ、70キロ)で愛嬌があるから、周囲から親しまれやすい子だった。昨オフに母校でやった自主トレには、同期たち十数人が並木のために集まったほどです」
出身は獨協大で、同大のプロ第1号でもある。大学3年時に参加した大学ジャパン代表選考合宿の50メートル走で全体1位になるなど、俊足が高く評価されていた選手だ。
「高校時代から走力が飛び抜けていたけど、それだけじゃない。成績も学年で1、2を争うくらい優秀で、通知表はオール5。目指せばどこの大学でもいけるくらいでした。獨協大に進んだ理由? ご両親が教員をしていて、本人も日体大を経て体育教師になるのが夢だったみたい。それでも、将来の選択肢を増やすためにも体育教員の免許が取れ、なおかつ学業にも力を入れている学校ということで、推薦入学しました。当時はプロなんてまったく考えてなかったはず。私は教員よりもサラリーマンの方が向いているのかなと思っていたから、ドラフトにかからなかったらNTTに進んでもらおうかと思っていたんですけどね(笑)」
こう話す長井監督が卒業後も目を掛けているのも、失策後にコーチからフォローされたのも、並木の人柄ということか。