錦織圭は全米OP欠場、松山英樹はPO途中棄権…トップアスリートの身体は30代で急変するのか
筋力頼りのプレーを続けると高い故障のリスクが
フィジカルトレーナーの平山昌弘氏がこう語る。
「30歳を過ぎると関節機能や筋肉の柔軟性、反射神経も徐々に衰える。また、動けているつもりが、実際には思っているほど動けていないという認知誤認も起こる。転びそうになった時、瞬時に踏ん張ることができなくなってくる。ゴルフでいえば、目標に対してスクエアにアドレスしているつもりが、かなり左や右を向いて立ってしまう。体の感覚を感じ取る認知力が弱くなってくるのです。衰えにはもちろん個人差があり、例えば、45歳までメジャーで現役を続けたイチローは体の認知力に長けていた。現役選手ならレッドソックスの吉田正尚がそうです。体重の使い方が巧みで、打撃フォームに無理くり感がない。彼らは、例えば下半身なら、太もも(大腿四頭筋)の筋力より股関節の動きを重視し、自分の体の中から感じる情報を拾うのがうまい。しかし、これは主観に委ねられる。一方で筋力は数値化できるのでわかりやすい。だから筋トレを重視する人が多いのです」
平山氏が続ける。
「ゴルフの全米、全英両オープンに2回ずつ優勝しているE・エルスは身長が190センチあっても、パワーで飛ばすというスイングではない。100キロ近い体重を利用して力感のない振りで飛ばしている。松山のスイングは対照的です。錦織に下半身の故障が多いのは、古傷をかばってバランスの悪い動きをしていることも考えられます。いずれにしても、30歳を過ぎて筋力に頼ったプレーを続けることは故障のリスクが高まります」
まだまだ現役を続けてほしいのだが……。