「地球を持ち上げるようにせり上がるんだ」琴ノ若に祖父・琴桜の教えは受け継がれるか
不知火型は短命横綱になるジンクスが
娘婿の元関脇琴ノ若が部屋を継ぎ、孫の琴ノ若が大関になって琴桜を名乗ると思われたが、「琴ノ若」の名を一度大関に上げた後、夏場所から改名したいという。
琴桜の横綱土俵入りは不知火型だった。いかつい風貌と太鼓腹、両腕をきれいに開いたせり上がりは、攻めの型らしい迫力があった。83年、隆の里が横綱になって不知火型にするというので、綱打ちに来て指南している。
「いいかい、地球を持ち上げるようにせり上がるんだ」
手本を見せる姿から、現役時代が思い出された。不知火型は短命横綱になるジンクスがあり、琴桜もそうだったが、白鵬(現宮城野親方)で払拭されている。琴ノ若に祖父の教えが伝わる日は来るか。「地球を……」はいつの時代も堂々と書ける名言だと思う。
▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。