「大関が交代で優勝しても横綱は生まれない」…後継者の台頭を待ち望んだ大鵬の嘆き
琴ノ若の昇進で春場所は4大関になる。昨年夏場所までは1横綱1大関で寂しかった番付が、文字通り春らしくなってきた。初場所の優勝でひと息ついた照ノ富士は、もう少し頑張るにしても、次の横綱が早く欲しいだろう。
1969年名古屋場所、柏戸が引退して「柏鵬時代」が終わりを告げ、横綱は大鵬1人になった。大関は北の富士、玉乃島、琴ノ若の祖父・琴桜に新大関清国の4人となり、清国がいきなり優勝して横綱候補に躍り出る。
先輩大関たちはそれまでに琴桜が2回、北の富士と玉乃島も優勝するなど、横綱昇進のチャンスを迎えながら逃していた。休場が増えた大鵬の後継者ができない。
清国の優勝に発奮して次の秋場所は玉乃島が優勝するが、九州場所は10勝に終わる。代わって北の富士が2度目の賜杯を抱いた。これで3場所続けて大関の優勝。そこで大鵬が漏らした嘆きが、当時のもようを書いた先人の記事にある。
「大関が交代で優勝したって、横綱は生まれないよ」