野口みずきを育てた名伯楽が徹底解説!マラソンは「選手の特性に応じた仕掛け」が勝負を左右する
野口みずきを育てた藤田信之氏は(元シスメックス女子陸上部監督)はこう語る。
「選手はすでに試走を終えているはずです。レース中盤に激しい起伏があり、スポーツマスコミは『五輪史上最難関コース』と報じていますが、レースがどうなるかはわかりません。言えることは、選手個々の特性によって対応は千差万別ということです。厳しい高低差の区間を揺さぶりやライバルを振り落とす時と考えるのか、ここが勝負時と見ている選手なら、前半を抑えたり、起伏地への入り方なども変わるはずです。選手の持ち味を熟知する指導者がライバルたちのこともよく分析し、レース展開を想定し、対応策を考え、トレーニングを行う。そして最後に『これだ』と思う戦略を選手に指示するのがベストです」
■25キロからロングスパート
野口が勝ったアテネ五輪も中盤に激しい起伏の上り坂が32キロまで続き、終盤は一気に下ってアテネの市街地のパナシナイコ競技場を目指した。当時は五輪史上最大の難コースといわれていた。
前出の藤田氏は最大のライバルはスピードのあるアレム(エチオピア)やヌデレバ(ケニア)、ラドクリフ(英国)たちと見ていた。