巨人・田中将大「魔改造」の効き目はいつ表れる? 名伯楽の久保コーチ2日連続マンツーマン指導
改造から結実まで1年半
巨人元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言う。
「経験と実績が豊富な久保コーチに田中将復活を託すのは正解だと思う。ただ、すぐに結果を求めるのは、田中将本人にも久保コーチにも酷だと思う。昨季わずか1試合登板に終わった田中将はヤンキースから楽天に復帰した21年以降の4年間で20勝33敗。球速、球威、球のキレは往時に比べるとかなり衰えているのが正直なところで、1カ月のキャンプで劇的に変貌できるかといえば、簡単ではない。
田中将本人がキャンプ初日のマンツーマン指導を終えて、『(自主トレでやってきたことが)それではダメなんだと感じた。体重移動や体の使い方、すべてです。自分の感覚とは大きく違う』と言っていたように土台から修正しようというのだから、なかなか一朝一夕にはいかないと考えていた方がいい。自分で考え、積み上げてきたものがある田中将クラスの投手には、余計に染みついたものがある。新たな取り組みがフィットするにしても、それなりの期間を見る必要があると思います」
菅野と久保コーチのタッグも即結果に結びついたわけではない。久保コーチが最初に、菅野に対してイチから投球フォームの修正を提案したのは23年の春季キャンプ。なかなか信頼関係を構築できず、田中将と同じ逆傾斜や、坂道の上からの急傾斜でのキャッチボールなどで軸足の使い方や体重移動など、基本的な部分から見直して、地道に理想の「縦振り」を追い求めたが、その年の菅野は4勝8敗。ようやく指導が実を結んだのは、15勝3敗と復活した昨年。つまり、改造の提案から完結まで1年半から2年近くを要したことになるのだ。
この日、サンマリンスタジアムで行われたトークショーに、同じく新加入のマルティネス、キャベッジとともに出席した田中将は、「投球フォームをイチから見直して基礎からやっていこうと久保コーチと話をしています。今、取り組んでいることがモノになれば『いける』と思うので、ひとつでも多くチームに勝ち星を持ってこられるように頑張りたい」と決意を語り、「理想は2月の最後の方に1試合でも投げられたらと投手コーチに言っている」と明かした。
魔改造に最初は半信半疑、すべてを託すまでに時間がかかった菅野に比べれば、田中将と久保コーチの二人三脚は順調なスタートを切ったとは言える。だが、日米通算197勝の右腕も昨季は1試合登板で0勝1敗に終わったのも事実。名伯楽の指導効果が出るまで、それなりの時間が必要かもしれない。
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田中が復活するに越したことはないが、それによってかねてより温められてきた「阿部構想」がパーになってしまう可能性がある。いったいどういうことか。田中と阿部構想がどう関係しているのか。その「悩ましい問題」とはーー。
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