土用の丑の日に「環境」を考える編

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 そこで目をつけられたのが、クロコの前段階のシラスである。当時の日本では、あらゆる河口や内湾にシラスが泳いでおり、クロコの何千倍もの捕獲が可能だった。しかし、重さがわずか0・2グラムでつまようじほどの大きさしかなく、当時までは誰も見向きもしなかったという。大正9年、愛知県淡水養殖研究所がシラスからの養殖に成功し、それから90年以上経つ現在でも、ウナギの養殖はシラスから育てて行われている。卵からの養殖はコスト面の問題もあり、いまだ研究室レベルでしか実現していない。

 昨年、環境省がニホンウナギを絶滅危惧種としたことに続き、今年6月には国際自然保護連合(IUCN)もニホンウナギを絶滅危惧種に分類した。現時点では、捕獲が禁止されているわけではない。しかし、ひと足先にIUCNから絶滅危惧種に分類されたヨーロッパウナギに対し、EUはシラスの国境を越える移動と輸出を原則禁止にした。この結果、ヨーロッパからシラスを大量輸入していた中国のウナギ養殖業が大打撃を受け、成鰻を中国から輸入していた日本にも大きな影響が及んだ。

 2013年、たった1匹のシラスウナギの価格が600円にまで達したという。今年、ウナギを食べる前にぜひ読んでおきたい。

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