目からウロコの浮世絵の楽しみ方

公開日: 更新日:

 日本人が考えている以上に海外で評価が高いのが浮世絵。あのゴッホにも影響を与えているのだ。浮世絵を、重箱の隅をつつくような独自の視点からマニアックに読み解いた本を紹介しよう。描かれているのに見えなかった浮世絵の裏側が見えてきて、目からウロコ! 状態になる。

 芥川賞受賞作家で、画家でもある赤瀬川原平氏が書いたのが「[新装版]赤瀬川原平が選ぶ広重ベスト百景」(講談社 1800円)。広重の風景画は歌麿の美人画や写楽の役者絵に比べると地味なイメージがあるが、実は広重の描き方は西洋の画家を驚かせるほど大胆でかつ斬新なのだ。定型にはまった絵を見ているときは人の目は眠っているが、目が覚めてこそ何かが見えてくる。そういう〈目の意欲〉を呼び起こすことにかけては広重は天才だと、赤瀬川氏は絶賛する。

 例えば、「目の前にいきなり“どん”と何かを持ってきて、はっと起き上がった目を、一気にぐーっと地平線にまで引っ張っていく」。

 ゴッホが模写したことで知られる「名所江戸百景」の「亀戸梅屋舗」は、見ている者の鼻がぶつかりそうな超近景に黒々とした梅の枝を描いて、枝越しに遠景の梅見客を配している。構図が大胆な半面、枝先の梅の花はひとつひとつ違う方向を向いているというきめ細かさもある。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」