「稀代の本屋蔦屋重三郎」増田晶文著

公開日: 更新日:

 吉原で貸本屋を営む蔦屋重三郎は、いずれは自分で本を出す版元になりたいと考えていた。

 吉原の遊女を紹介する「吉原細見」の版権を持っていた鱗形屋に取り入って、改版の仕事を任されたのをきっかけに、念願の版元になる。才能のある戯作者、絵師を発掘して次々に江戸っ子のニーズに合った本を出版するが、やがて危機に見舞われる。風刺の効いた恋川春町の黄表紙が松平定信に睨まれ、召喚されたが、それを拒んで春町は自害した。

 追及の手は蔦屋にも及び、重三郎は拷問を受けた上に家を半分取り壊されるという処罰を受ける。

 山東京伝、歌麿、写楽などを世に出した反骨の出版人の野望を描く時代小説。(草思社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    阿部巨人V奪還を手繰り寄せる“陰の仕事人” ファームで投手を「魔改造」、エース戸郷も菅野も心酔中

  3. 3

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  4. 4

    吉村知事の肝いり「空飛ぶクルマ」商用運航“完全消滅”…大阪万博いよいよ見どころなし

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  2. 7

    大谷ファンの審判は数多い あいさつ欠かさず、塁上での談笑や握手で懐柔されている

  3. 8

    小泉進次郎の“麻生詣で”にSNSでは落胆の声が急拡散…「古い自民党と決別する」はどうなった?

  4. 9

    ドジャース地区連覇なら大谷は「強制休養」の可能性…個人記録より“チーム世界一”が最優先

  5. 10

    ドジャース地区V逸なら大谷が“戦犯”扱いに…「50-50」達成の裏で気になるデータ