市村正親 胃がん早期発見も気をつけたい手術後のリスク
また、「悪性貧血」にも注意が必要だという。体中に酸素を運ぶ赤血球が作られる際は、鉄分とビタミンBが必要に。鉄分の吸収には胃酸、ビタミンBの吸収には胃で分泌される「内因子」というタンパク質が必要になるため、胃を全摘出した場合は、ひどい貧血を起こしやすくなるのだ。
「中高年は抵抗力が弱っているうえ、『胃がない状態』に適応するまでに時間がかかります。食事の取り方や、どんな生活パターンをすると体調が悪くなるのかといった状態をしっかり見極められるまで無理は禁物です」(江田氏)
胃の一部を残した場合は、残った胃にがんが再発する「残胃がん」に要注意だという。
胃がんはピロリ菌による感染が大きな原因になる。60歳を越えて胃がんが見つかったということは、それだけ長い間、ピロリ菌の感染にさらされていたということで、そのことが胃がん再発リスクをアップさせる。
「ピロリ菌は、遺伝子を書き換えてがん化させます。胃がんになった高齢者は、ピロリ菌感染によって胃の細胞の遺伝子が変質している可能性が高い。手術の後、ピロリ菌をしっかり除菌しておかないと、残った胃にがんが再発する危険があります」(江田氏)
舞台復帰のために、しっかり養生してほしい。