安田美沙子「壁にぶつかるたびに和田アキ子さんがアドバイスを」
京都駅でのスカウトから3年目、当時のわたしはマネジャーから「取りあえず5年頑張ろう」と言われ、オーディションに営業と無我夢中で走り回っていたんですけど、もともと人前に出ることすら苦手なのですから、緊張の連続。自分には芸能界は向いてないんじゃないか、無理なんじゃないかと悩み、いたたまれない気持ちになることが少なくありませんでした。そんな胸の奥まで、アッコさんは一瞬で見透かして、わかってくれたんですね。それでまた、涙があふれ出て……。公私ともに親しくしていただくようになったのは、それからです。
アッコさんから学ばせてもらったのは、初心ということだと思っています。なぜ、この仕事をしているのか、仕事をすることによって、どうしたいのか。駆け出しのわたしと同じ問いを常にご自身に突きつけている。コンサートの前は、ガタガタ震えて、貫禄のステージからは想像できないくらい、緊張し、打ち震えているんですね。それは、お客さまに喜んでいただくにはどうすればいいのか極限まで考えて、全身全霊を注いでいるからなのでしょう。
だからこそ、わたしの心が定まっていないと、すぐに見破ってしまう。「おまえは中途半端やねん、何がしたいんか」って、何度言ってもらったことか。思いの丈をぶつけると、「ほな、頑張れ!」って。週刊誌にわたしの記事が出て、悩んでいたときは「読んだ。けど大丈夫や」って真っ先に電話をくださいました。何度も壁にぶつかり、何度もやめようと思いながら、続けてこられたのは、アッコさんに見守っていただいたからです。