単館系作品「百円の恋」 アカデミー賞優秀作品のなぜ?
第39回日本アカデミー賞の発表が今週あった。北野武監督が昨年、大手映画会社の持ち回りじゃないかと言って物議をかもし、岡田裕介同賞協会会長が反論する一幕もあった映画賞だ。
真偽のほどはさておき、今年はまったく意外な作品が年間の5本のみに与えられる優秀作品賞に選出され、驚いた。安藤サクラ主演「百円の恋」で、公開は何と2014年12月20日だったからである。
今回の対象期間は14年12月16日から、15年12月15日までに公開された作品。「百円の恋」は一昨年の公開だったにもかかわらず、受賞作になった。
よくぞ、比較的近い昨年公開の作品をさしおいて、1年以上前の作品が忘れられずに選ばれたものだと感心した。大手の興行網に乗らない単館系だったので、大手優先のこの賞にはなかなか引っかからない作品でもあった。
だらしない生活を送っているいい年をした女性が、ボクシングに目覚めていく姿を鮮やかに描く。ボクシングシーンも実に丁寧に撮られていて、低製作費ながら、娯楽映画の神髄を見せてくれるような醍醐味があった。