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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

藤原竜也「リバース」 過去と現在が交差する演出の緊張感

公開日: 更新日:

 これまでTBSは湊かなえの小説を何度もドラマ化してきた。鈴木京香石田ゆり子の「夜行観覧車」(13年)、榮倉奈々の「Nのために」(14年)などだ。どちらも女性が主軸だったが、今回の「リバース」は違う。

 主人公は事務用品会社に勤務する深瀬和久(藤原竜也)だ。平凡な仕事と平凡な私生活。気に入ったコーヒー店で過ごす時間を大切にしていた。

 ある日、部屋のドアに「深瀬和久は人殺し」という張り紙を見つける。誰が何のためにしたのか。すべては10年前、深瀬の学生時代に起きた出来事から発生していた。ゼミ仲間との旅行中、親友の広沢由樹(小池徹平)が自動車事故で亡くなったのだ。その時、酒を飲んでいた広沢に運転させたことを深瀬たちは警察などに隠していた。加えて、事故を装った殺人を疑う元刑事のフリージャーナリスト、小笠原(武田鉄矢)の動きも不穏だ。

 主演の藤原をはじめ、小池徹平、市原隼人玉森裕太三浦貴大などの俳優陣が自分の個性を生かしながら、各キャラクターを好演している。また、過去と現在を交差させる脚本と演出にも緊張感があり、見る側をぐいぐいと牽引していく。

 先週の第2回までに原作のかなりの部分を使っていたが、「原作の結末後の世界」も描くという。「小さな巨人」とは別タイプの“男ドラマ”として期待が持てそうだ。

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