著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

今頃分かった魅力 映画は「創造」ではなく「破壊」なのだ

公開日: 更新日:

 今まで撮ったことのないアクション場面が連続する映画を撮っている。楽しくてしようがない。なぜか? それは日頃のストレスの最大の発散になるからだ。でも、銃の発砲シーンなどではさほど発散できない。それは「弾着」、つまり、家屋の壁や車のボディーに着弾して穴が開いたように見せるために仕掛ける火薬のことだが、それがリアルに写るためには、リアルな破片の飛び散りも仕込まなければならないし、穴の上をパテで塗り固めて隠しておかないといい破裂が撮れないからだ。

 一発の弾着を仕掛けるだけで30分はかかるし、壁の裏に電線コードを這わせておかないとならない。それが機関銃の連射ともなると数百発の穴を前日から開けて作っておかなければならないし、失敗すれば、また1日がかりになってしまう。銃撃場面は逆にストレスがたまるばかりだ。

 我らが、今回挑んでいるアクションは、ならず者たちが敵のアジトの家の窓から部屋の中に、パワーショベル車のバケットの巨大な爪を伸ばして激突してくる場面だ。もちろん、運転手役にはプロ中のプロスタントマンを使って、どう壊してもいい空き家を見つけ、部屋を飾り、人間を住まわせ、そこに突っこませる迫真感が勝負になってくる。CG画像は嘘がバレるから使いたくない。それにワンチャンスしかないのが快感だし、スタッフもそれで一丸となれる。絶好のストレス解消法だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ