最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~のぶの決断に寅子を思い出す…朝ドラヒロインから現代女性へのメッセージか?
第8週「めぐりあい わかれゆく」#40
【朝ドラのツボ!】
昭和14年12月、柳井家に嵩(北村匠海)から手紙が届く。卒業制作を最高傑作にすると力強く書かれた手紙に、うれしそうに笑う寛(竹野内豊)。そのころ、のぶ(今田美桜)には海の上の次郎(中島歩)から手紙が届いていた。
数日後、次郎に会いに行ったのぶは、正直な気持ちを話す。そんなのぶに、次郎はやさしくほほ笑む。次郎と別れたあと、一人歩きながら結太郎(加瀬亮)の言葉を思い出したのぶは……。
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【本日のツボ】
のぶの結婚話に、寅子が重なった!
※※以下、ネタバレあります※※
のぶに「教師の仕事を続けても構わない」と次郎。なんと理解あるお方でしょう。これほどの理想のお相手はいないと思えるほどの好物件では、と思っていたら、あっという間の急展開、プロポーズを受けました。
決め手は大好きだった父・結太郎(加瀬亮)の言葉と、次郎がのぶに言ってくれた言葉が同じだったこと。
妹の蘭子(河合優実)に、「そんなの嘘っぱちや」と言われたことで、“愛国の鑑”として子どもたちを立派な兵隊になるために育てていた自分に惑いが生じているようで、そのことを次郎に打ち明けます。
のぶの本音を聞いた次郎は、「そんなに重い荷物をいくつも担いでいたら、船だったら沈んでしまいます。荷物を降ろす用意をしませんか? その時が来たら思いっきり走れるように。終わらん戦争はありません。その時、世の中はすっかり変わってしまうかもしれん……ゆっくり考えればえいです。のぶさんは、足が速いき、すぐ追いつきます」と。
店を出て次郎と別れた後、父・結太郎の言葉と、次郎の言葉が同じだったことに気がつき、全力で走って追いかけ、プロポーズを受け入れました。
朝田家ご一同様、大喜び。誰も嵩のことを口にする人はいません。なのに嵩は、卒業制作を仕上げたら、気持ちを伝えにいく、などと呑気なことを……。
嵩の理解者はヤムさんだけ…
唯一、ヤムさん(阿部サダヲ)だけが嵩を心配していました。パンの生地を作業台に叩きつける音が大きくなり、「あ~あ、アイツ、死なないといいけどな。大丈夫かな」と。子どもの頃から今まで、嵩の本当の理解者はヤムさんだけです。
というわけで、のぶのお相手は嵩ではなく、次郎ということで、2人が結婚するのはまだまだ先のようです。それで思い出したのが、「虎に翼」の寅子(伊藤沙莉)です。寅子も最初、優三(仲野太賀)と結婚しましたが、彼が戦死し、のちに、航一(岡田将生)と再婚し、幸せに暮らしました。
今回も、次郎との結婚生活がなんらかで終わりを迎え、その後、嵩と再婚するという流れのようです。
史実もそうだからなのでしょうが、朝ドラヒロインが再婚して幸せになるというこの流れ、世の中のバツイチ女性、もしくは、結婚を躊躇う未婚女子たちに、結婚おそるるなかれ、失敗しても次があるぞ! というメッセージのような気がしてきました。
来週は、嵩が絶望の淵に叩き落されそうですが、ヤムおじさんがきっとなんとかしてくれるでしょう。
(桧山珠美/TVコラムニスト)