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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

「M-1」なければ辞めていた 審査員受諾はナイツ塙の恩返し

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 実際、中川家博多大吉らが、「M―1」の審査員をやると、自分たちが漫才をやるときにハードルが上がってしまい、ウケにくくなったという話をしている。そもそも大げさではなく、出場者の「人生を決める」ことになってしまう大きな責任がある。

 数値化することのできない漫才に無理やり点数をつけるのだ。現役であればあるほど、やりたくないというのは、ある意味当然だ。けれど、塙は「ぜんぜん受ける」と言い、実際に受けた。「将来を担う天才ボケを発掘したい」と。

 ナイツの芸人人生は「M―1」と共にあったと言っても過言ではない。コンビ結成の01年に「M―1」も産声を上げた。自分たちは面白い。そう思っていても、それを証明してくれる場所はなかった。けれど、「M―1」ができたことで自分たちの“位置”が分かるようになった。

 ナイツは「M―1」に挑戦し続けて8年。ようやく決勝の切符を手に入れた。「M―1がなかったら芸人を辞めてたかもしれない」と塙は言う。

「M―1のお陰で、モチベーションを維持できたし、新しいネタも作ることができましたから」(同前)

「M―1」で“浅草の星”というキャッチフレーズが生まれ、浸透し、自分たちをプロデュースできるようにもなった。だからきっと、塙が他の芸人が受けたがらない審査員を引き受けるのは、「M―1」への恩返しなのではないだろうか。

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