土屋太鳳「約束のステージ」70年代の“ゆるさ”心地よし
22日夜に放送された「約束のステージ~時を駆けるふたりの歌~」(日本テレビ系)。主人公は東北の港町に住む小沢翼(土屋太鳳)だ。母親(石野真子)が営む食堂を手伝っているが、本当は歌手になるのが夢だった。
ある日、列車に乗っていた翼はアクシデントに遭い、何とタイムスリップ。行った先は昭和50(1975)年の東京で、そこで出会ったのが同じ歌手志望の大空つばさ(百田夏菜子)だ。
2人は元歌手の津島(向井理)の指導を受け、10週勝ち抜けばプロへの道が開かれた「全日本歌謡選手権」に挑戦する。なぜ実在の番組かといえば、当時「全日本――」を制作していた読売テレビの開局60周年企画だからだ。
驚いたのは土屋の歌がなかなか聴かせること。百田が朝ドラ「べっぴんさん」の頃より演技が上達していること。そして、パソコンもネットも携帯もない70年代の雰囲気が心地よかったことだ。ドラマの中で歌われる「個人授業」「17才」「ひとりじゃないの」といった昭和歌謡も懐かしい。実はこのドラマ、タイムスリップものとしての設定が不完全だったり、登場人物のキャラクターがステレオタイプだったり、全体のテンポも間延びしたりしている。しかし、そんな“ゆるさ”もけがの功名。ある意味で、この時代の空気の見事な再現かもしれないのだ。平成が終われば、昭和はもっと遠くなる。