時事ネタ注文多く…紙切りほど世相がわかる寄席芸はない

公開日: 更新日:

 披露興行を何度か見たが、オーバーヘッドプロジェクターを使った大作もあって、落語家が大ネタを演じたのと同じような満足感を得られた。堂々たるトリの芸である。

 初代と2代目正楽は注文を取る前の「ハサミ試し」として、必ず「藤娘」を切っていた。3代目は小正楽時代から一貫して「相合い傘」を切っており、今も変わらない。

「『相合い傘』を切って見せた時の反応で、その日の客の質というかレベルがわかります。注文を取るとさらにわかる。15分高座だとご注文を切れるのは5枚が限度です。5人の方それぞれがいろんなパターンの注文を出すのがいいお客さまと言えます。日本舞踊、季節の風物詩、スカイツリーとか東京タワーみたいな建物、人気者か話題の人物といったあんばいですね」

 紙切りほど世相がわかる寄席芸はない。最近の客は時事ネタを注文するからだ。注文された物を「出来ません」と言わないのがプロなのである。(つづく)

(聞き手・吉川潮)

【読者プレゼント】

 毎日1人に本紙に掲載されている“紙切り”をプレゼントします。希望者は欲しい作品を切り抜いてハガキに貼り、郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、好きな芸能人、嫌いな芸能人とその理由を明記のうえ、〒104―8007 日刊ゲンダイ芸能編集部「林家正楽『紙切り』プレゼント」係まで。賞品の発送をもって当選者の発表に代えさせていただきます。

▽はやしや・しょうらく 1948年、東京都目黒区出身。高校卒業後、会社勤めを経て66年、2代目林家正楽に入門。芸名「一楽」。88年、「林家小正楽」を襲名。2000年、3代目「林家正楽」を襲名。7月は鈴本演芸場(7月上席「夜席」)ほか出演。詳細は落語協会HPを。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    中日1位・高橋宏斗 白米敷き詰めた2リットルタッパー弁当

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    悠仁さま「学校選抜型推薦」合格発表は早ければ12月に…本命は東大か筑波大か、それとも?

  2. 7

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 8

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 9

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議