「偽装不倫」も失速中…恋愛ドラマはなぜ視聴率を稼げなくなったのか
もうひとつ大きく変わったものがある。携帯電話・スマートフォンの普及だ。「月9」最盛期のころは、携帯電話の普及率はまだ25%程度で、「ロンバケ」でも、木村拓哉からの連絡を松たか子が電話機の前でいつまでも待つシーンが、ドラマファンの胸をキュンキュンさせたのだが、スマホではすれ違い、行き違いのもどかしさはなく、声を聞きたい、顔を見たいと思えば、数秒後には手の中の画面に現れる。ケンカをしても、連絡をとってすぐ仲直りをしたり、別れたりしてしまうから、話を引っ張るのが難しい。
では、今どきの人気ドラマの要素は何だろう。「悪いヤツが最後にヘコまされてスカッとする」「女性のお仕事ストーリー」「見逃してもついていける1話完結」「コミカルな笑いがある」だ。
「その意味で、軽く視聴率20%を超えるお化けドラマ、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)は、すべての要素を備えているんです。秋に2年ぶりに復活するのも当たり前でしょうね」(テレビ雑誌デスク)
この夏ドラマでいえば、「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)はスカッと路線、「監察医 朝顔」(フジテレビ系)と「刑事7人」(テレビ朝日系)は1話完結スタイルで、いずれも2ケタ視聴率を維持している。
ヒット要素がすべて中途半端で大失敗しているのが、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」だ。すでに、大河ドラマ58作で最低視聴率は確定的である。
(コラムニスト・海原かみな)