セイン・カミュは事務所独立問題がこじれ芸能界から消えた
実際、セインがR&Aを退職すると、R&Aは執拗にセインを潰しにかかったようだ。裁判が始まってから、R&Aはテレビ局などに対し「無断でセインを起用するな」などと執拗に要求。セインが出演した番組が放送されると「この業界にいられなくしてやる」「セインを使うなら、R&Aが抱える他の外人タレントを出演させない」などと恫喝し、トラブルを恐れたキャスティング担当者の多くがセインの起用を見送るようになった。
セインがビールの新製品のCMに出演した際、R&Aが関わる「外国人タレントプロダクション事業協同組合」がFAXで大手広告代理店に質問状を送付し、セインのCM出演がR&Aに連絡なく決定した経緯などについて回答を求めた。こうした質問を装う嫌がらせにより、予定されていたセインのCM出演は中止に追い込まれた。
裁判は1審、2審ともにセインの勝訴となったが、セインの芸能界復帰は容易ではなかった。
その理由の一つには週刊誌報道の影響もありそうだ。報道によれば、セインのテレビデビュー作であるNHKの番組で大麻使用疑惑が持ち上がり、番組を降板させられていたという。この報道があったのは、R&Aの請求棄却が予想された控訴審判決の言い渡し日の直前だった。10年も前の話が蒸し返されたのは、セインに対する意趣返しだった可能性もある。
(つづく)