ドラマ「時効警察」の醍醐味は散らかし放題の小ネタにあり
連ドラとしては12年ぶりの復活だ。「時効警察はじめました」(テレビ朝日系)である。すでに時効となっている未解決事件。その真相を探るのが趣味だという警察官、霧山修一朗(オダギリジョー)が主人公だ。
まず、総武警察署時効管理課という舞台も、捜査の女房役である三日月しずか(麻生久美子)、いつもうるさい又来(ふせえり)、表情から感情が読めないサネイエ(江口のりこ)、そして大抵の発言が皆から無視される課長の熊本(岩松了)といった面々も変わっていないのがうれしい。
ドラマの構成も見慣れたものだ。ほとんどはゲストが真犯人で、今回も小雪(新興宗教の教祖)、向井理(ミステリー作家)、中山美穂(婚活アドバイザー)ら豪華な顔ぶれが並ぶ。むしろ犯人がわかっているので、見る側は安心して霧山の推理を楽しめるのだ。
そして何より、このドラマの醍醐味は全編にちりばめられた、いや散らかし放題の小ネタにある。事件現場の最寄り駅の名前が「手賀刈有益」だったり、捜査に同行した刑事課の彩雲(吉岡里帆)が意味なく「わんこそば」を食べ続けたり。また、三日月が霧山との接近をほくそ笑む、「ウッシッシ」の元祖は大橋巨泉だ。
わかる人がいようといまいと本気で面白がっている制作陣。ふと仲間由紀恵と阿部寛の「トリック」を思い出した。