初老男の苦悩を描く「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

公開日: 更新日:

 われらサラリーマンも「今の生き方でいいのか」と自分史を疑うことがある。リーガンはわれわれの代表であり、目の前に立ちふさがる内なるバードマンと戦っている。だから妄想にかられて暴れる。

 ラストはバードマンと決別するリーガンの姿。人間の幸福は心の持ちようで決まる。高杉晋作は「おもしろきこともなき世をおもしろく」と詠み、野村望東尼(もとに)の結句「すみなすものは心なりけり」に「面白いのお」と呟いて命を閉じた。

 自信を回復して窓枠を越えた父と、父を探して空を見上げる娘。彼女のブルーの瞳に何が映ったのかは分からない。ただ、「あはは」という無邪気な笑い声が大団円の余韻を残すのだ。

(森田健司/日刊ゲンダイ)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    イメージ悪化を招いた“強奪補強”…「悪い町田をやっつける」構図に敵将が公然批判でトドメ

  2. 2

    菊池風磨、亀梨和也は結婚も? スピリチュアル霊能者が2024年芸能界下半期をズバリ占う!

  3. 3

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 4

    町田ゼルビア黒田剛監督は日本サッカー界の風雲児か? それともSNSお祭り炎上男か?

  5. 5

    石丸伸二ブーム終焉の兆し…「そこまで言って委員会」で泉房穂氏の舌鋒にフリーズし“中身ナシ”露呈

  1. 6

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  2. 7

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    指原莉乃が筆頭、元“神7”板野友美も参入 AKB48卒業生のアイドルプロデュースが増加する背景

  5. 10

    「サマージャンボ宝くじ」(連番10枚)を10人にプレゼント