PANTA特別インタビュー 自粛警察でなく頭脳警察呼んでくれ

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ヤルタでの聴衆の熱狂には驚いた

 ――原点がホリプロというのは、ロック界だけでなく、後に荻野目洋子をプロデュースしたり、堀ちえみ、岩崎良美らアイドル歌手に曲を提供して芸能界にもPANTA人脈を広げることにつながったのか。

「ハハハ、それはないかな。でも、いつかは彼女たちが歌った曲を自分でカバーしたアルバムを出したいね。石川セリのヒット曲『ムーンライト・サーファー』にセリがコーラスで参加するってのも面白いかもしれない」

 ――GSの後は?

「『スパルタクス・ブント』っていう先鋭的なバンドに参加して、これが『頭脳警察』の前身。誘ってくれたキーボードの千葉さんは学生運動では有名人で、後に警官殺傷事件を起こして服役するんだけど、学生運動とGSを両立させていたんだから60年代というのは面白い時代だよね」

 ――50年のまだ入り口で、これからが激動と変転の時代に突入していくわけだが、映画はその軌跡を実にスリリングに描いている。三里塚の幻野祭や90年の再結成。中でも2018年のロシア・ヤルタ国際音楽祭招待ライブの模様が圧巻だ。

「この時、『七月のムスターファ』を歌ったんだ。サダム・フセインの孫で14歳のムスターファが父やボディーガードがアメリカ軍に殺された後も1時間にわたって銃撃戦を繰り広げ、射殺された史実を歌ったもので、クリミア半島という、政治に翻弄された土地だけに聴衆の熱狂的な反応に驚いたね」

■音楽を経済に利用されたくはない

 ――コロナの時代、音楽はどうなるのか。

「コロナ以前から音楽は(CDなど)パッケージから配信などのサブスク(定額サービス)に移行していたし、その流れは変わらないと思う。コロナと人類が共生せざるを得ないのと同じで、ライブというアナログとデジタル配信は共生していくでしょう。音楽は国境も民族も宗教も超越する最強のもの。ただ、それを経済的に利用されたくはないという気はするけどね。そうそう、コロナで『自粛警察』っていう言葉が流行ったけど、冗談じゃない。“ふざけるんじゃねえよ”、そういう時は、頭脳警察を呼んでくれと言いたい(笑い)。まあ、今は無事に映画が公開されることを祈ってる。デビューアルバムが発禁で、記念映画がコロナで中止じゃ、新たな伝説になったとしてもシャレにならないもんね、ハハハ」

(聞き手=山田勝仁/演劇ジャーナリスト)

■「zk/頭脳警察50 未来への鼓動」(100分)は、18日から新宿K’sシネマで公開。記念シングルCD「絶景かな…!」を限定発売。

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