著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

テレ朝「24 JAPAN」57歳の唐沢寿明の熱演には拍手だが…

公開日: 更新日:

 なんとびっくりの「24 -TWENTY FOUR-」リメークだ。その名も「24 JAPAN」ときた。

 アメリカでシーズン1が放送されたのは19年前。日本でも16年前のことだ。テレ朝のプロデューサーが「やりたい」と言い続けたそうだが、出すべき時期を逃した「証文の出し遅れ」感は否めない。とはいえキーファー・サザーランドが35歳で演じたジャック・バウアーを、57歳の唐沢寿明が引き受けたのだ。そりゃ見ないわけにいかない。

 そして9日の第1話。結論を急ぐなら、日本版というよりパロディー版と言うべき代物だ。まず「初の黒人大統領」候補と「初の女性総理」候補では、存在自体が持つ意味や重さがまるで違う。また暗殺計画なるものに対する緊迫感も異なる。だから本国版ではリアリティーを感じさせたCTU(テロ対策ユニット)も、こちらはセットのミニサイズ化と相まって何ともチャチくさいのだ。

 主人公の獅堂現馬(唐沢)など登場人物も物語の流れも、基本的にはオリジナルをなぞっているはずなのに、ゆるふわな雰囲気は最後まで変わらなかった。加えて、かつては新鮮だった2分割・3分割の画面も、今になると「リモートドラマ」を見るようで落ち着かない。

 結局このドラマ、パロディーとしての完成度をSNSのネタにしながらワイワイ楽しむのが正解だろう。唐沢の熱演に拍手を送りながら。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」