「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼」懐かしいホームドラマ
母の水無瀬碧(菅野美穂)は「恋愛小説の女王」と呼ばれる作家。娘の空(浜辺美波)はアニメ好きの大学生。港区のタワマンで2人暮らしだ。
しばらく恋愛と縁がない碧は新作が書けなくて困っている。だが、それ以上に恋愛経験のない娘のことが気になって仕方ない。「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」(日本テレビ系)は、ちょっと浮世離れした母娘を巡るラブコメである。
まず、碧と空の掛け合いが笑える。恋の指南役を買って出た碧に向かって空が言う。「私が広瀬すずだったら、立ってるだけでいいのに!」。すかさず碧も「私も井川遥だったら、ただ座ってるよ」と返した。思い込みで暴走する碧。マイペースなオタクである空。菅野と浜辺による“なり切りショー”が楽しい。
そして、このドラマのもう一つの魅力が、近所にあるたい焼き屋「おだや」の存在だ。
営むのは碧の幼なじみで「ゴンちゃん」こと小田欣次(沢村一樹)と父の俊一郎(中村雅俊)。碧がくつろげる場所であり、空のバイト先でもある。亡妻の月命日に、かつて一緒に聴いたジャニス・イアンのレコードをかける俊一郎がすてきだ。
母と娘、父と息子、この2組を交差させることで、ラブコメでありながら、どこか懐かしいホームドラマにも見えてくる。攻守のバランスにたけた脚本は北川悦吏子だ。