夜の銀座はクラブ「姫」の時代 作詞家・山口洋子の始まり
■プロ野球選手、マスコミ。さまざまな業種の人間が来店
とにもかくにも、夜の銀座を制した洋子の風評は銀座を飛び越え、マスコミの間に広がるのにそう時間はかからなかった。程なくしてさまざまな業種の人間が店を訪れては、儲かる儲からないは別として、あらゆる話を持ち掛けてきた。
1967年のことである。洋子の友人で現役の芸者歌手である神楽坂浮子が「あなたに相談がある」と、開店前に姿を見せたのがすべての発端だった。
彼女は一編の自作の詩を持って来た。
「これから夜の主流は銀座のホステスよ。私も芸者のイメージは捨てるわ。そこで、イメージチェンジをしたいから、銀座のプロのあなたのアドバイスがほしいの」
後年、歌謡界に数々の金字塔を打ち立てる「作詞家・山口洋子」はこんな些細な話から始まった。(つづく)