報道番組に求められるアメリカ外交を批判的に検証する視点
もともとアメリカが国外に関心を持ちにくい国であるということは現実としてある。あの国は、その気になれば自己完結できてしまう。冷戦やテロとの闘いという極めて内向きの論理によって海外に兵を出し、そして極めていびつな形で海外とつながっていただけのことだ。
■アメリカの外交政策の基準は親米政権か否か
8月16日のタリバンの勝利宣言以後、自国民や協力者の国外脱出で混乱するアメリカ政府の姿はそれを反映したものでしかない。このニュースを解説する識者が「アメリカが国際社会で掲げる自由や民主主義の理念が後退することを懸念する」と語っていたが、これも少し違和感がある。そもそもアメリカの外交政策が他国に期待するのは親米であることだ。中南米でも中東でも、アメリカがこだわったのは親米か否かだ。自由も民主主義も理解しない腐敗が横行する政権でも、親米であれば支えた。強引に政権の座につけるケースもあった。そして彼らが使い切れないほどの金を与える。必然的に腐敗の度合いは大きくなる。その結果起きたのがイラン革命でありイラクの混乱であり、アフガニスタンでのカルザイに始まる親米政権の樹立だった。戦後の日本の保守政権もその延長上にある。