著者のコラム一覧
桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

今期のテレビドラマを彩る歌舞伎俳優の面々 ダークホースは坂東彌十郎

公開日: 更新日:

めっけもの「鎌倉殿」の坂東彌十郎

 歌舞伎役者がドラマに出演するのは今に始まったことではない。たとえば、1963年放送の大河ドラマ第1作「花の生涯」で主人公・井伊直弼を演じたのは2代目尾上松緑だった。第38作「元禄繚乱」で主人公・大石内蔵助を演じたのは5代目中村勘九郎(18代中村勘三郎)、その息子・6代目中村勘九郎が第58作「いだてん~東京オリムピック噺」で主人公・金栗四三を演じたのも記憶に新しい。

 それにしても、今期はやたらと歌舞伎役者が目立つ。ダークホースは坂東彌十郎。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で小栗旬演じる主人公・北条義時の父・時政を演じている(ちなみに長男の宗時役は片岡愛之助)。

 ドラマへの出演は少なく、番宣で頼朝役の大泉洋が「彌十郎さんが見つかっちゃう」と語っていたが、まさにその通り。女好きの愛すべき田舎侍を飄々と演じ、存在感を示している。

「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)と「まったり!赤胴鈴之助」(BSテレ東)を掛け持ちしているのが尾上松也だ。「ミステリ──」のお調子者でムードメーカーの池本刑事もハマリ役だが、「まったり──」の松也もいい。あの「赤胴鈴之助」が江戸から令和にタイムスリップしてきたというコメディー。65年前に松也の父、6代目尾上松助が「赤胴鈴之助」を演じており、その息子が時を経て、再び鈴之助を演じるというところにロマンを感じる。

お騒がせの中村芝翫 また悪いヤツを

 16日にスタートした日曜劇場「DCU」(TBS系)に出ていたのが不倫報道でお騒がせの8代目中村芝翫。画面に映った途端「あっ、三田寛子を悲しませる不倫夫! 悪いヤツ」と思ってしまった。

 そんな目で見たら悪人にしか見えず、あにはからんや、悪人だったというオチ。昨年の大河「青天を衝け」で演じた岩崎弥太郎もいやーなヤツだったし、禊が済むまで悪役で頑張るしかないか!?

尾上菊之助 「カムカム」のキーパーソン

 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で銀幕のスター、モモケンこと桃山剣之介を演じているのが5代目尾上菊之助。劇中時代劇でドラマを盛り上げている。3世代のヒロインが100年にわたり織りなす物語で3人のヒロインに関わるキーパーソン。

 菊之助の姉は寺島しのぶ、両親は7代目尾上菊五郎、富司純子というのは有名だが、その父が4代目尾上菊之助時代に大河ドラマ第4作「源義経」で主人公・義経を演じ、静御前を演じた富司純子と知り合い、結婚したのを知っている人は少数派だろう。昨年惜しまれつつ亡くなった「鬼平犯科帳」の中村吉右衛門は義理の父にあたる。

 というわけで冬ドラマは歌舞伎役者が大活躍だが、歌舞伎役者なら誰でもいいというわけではない。11代目市川海老蔵は歌舞伎では大看板だろうが、ドラマに出るとなぜか浮いてしまう。唯一の例外?

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末