<143>早貴被告の近影を狙って…前日に田辺入りし、一周忌法要の会場を下見
「へえ、早貴は二度と田辺には来ないって言っているんですか。逮捕されたら田辺の留置場暮らしになるし、どっぷり住むことになるでしょうにね」
皮肉たっぷりに言ってやった。
「そうやな。それがいつになるのか心配やけど。一体警察は何をもたもたしているんや」
「ボクも同じ気持ちですよ。早く逮捕されて運ばれてこないですかね」
実際に逮捕されたのはこの会話の2年ほど後だ。
「お墓も作ったし、一周忌をすればこれで田辺に来るのはおしまいという気分なんやろが、そんな簡単に逃げさせるわけにはいかないのや」
野崎幸助さんの会社で番頭格だったマコやんは、早貴被告の代わりに葬儀社と折衝して墓地を見つけて墓石の相談にも乗るなど、相当苦労をしていたらしい。
私は一周忌に際し早貴被告の近影を押さえ、Fさんへの過払い金返還の不正を問いただすのを目的にした。Fさんに直接談判したのは早貴被告の弁護士であるが、合意書には代表取締役として彼女の署名・押印がされていたからである。